目次

「新しく作ったのに痛くて噛めない」
「話していると外れる、カタつく」
「何度調整しても、しばらくすると同じところが痛くなる」
「新しい入れ歯より、以前の入れ歯の方がまだ噛みやすい」
このようなお悩みがあると、「型取りが悪かったのではないか」「もう一度作り直せばよくなるのではないか」と考えるかもしれません。
しかし、入れ歯が合わない原因は、入れ歯の形だけにあるとは限りません。
残っている歯、顎の骨、粘膜、噛み合わせ、顎の動き、神経や筋肉の適応など、複数の問題が絡み合っていることが多いからです。原因を確認せず、同じ考え方で作り直すだけでは、新しい入れ歯でも同じ問題を繰り返す可能性があります。
大阪市平野区のみやの歯科医院では、入れ歯だけを見るのではなく、「なぜその入れ歯が痛いのか」「なぜ噛むと動くのか」を調べてから、調整、リノベーション、新規製作などの方法を検討します。
入れ歯が合わないときに現れやすい症状
- 噛むと歯ぐきが痛い
- 入れ歯が浮く、外れる
- 会話中にカタつく
- 食べ物が入れ歯の下に入る
- 一部の歯や粘膜に力が集中する
- 頬や舌を噛む
- 発音しにくい
- 吐き気や強い違和感がある
- 入れ歯安定剤なしでは食事しにくい
- 硬いものを避けるようになった
入れ歯が緩い場合だけでなく、見た目には動いていない入れ歯でも、噛んだ瞬間にわずかに傾き、一部へ力が集中することがあります。
大切なのは、痛い場所だけでなく、なぜその場所に力が集中したのかを調べることです。
入れ歯が合わない原因は一つではありません
入れ歯の不具合には、次のような原因が複合的に関係します。

1.入れ歯と粘膜の適合が合っていない
義歯床の内面と粘膜の形が合っていないと、噛む力を広い範囲で受け止められません。
一部だけが強く当たれば痛みや傷が生じ、反対に隙間が大きければ、入れ歯が浮いたり食べ物が入り込んだりします。
また、粘膜はどこも同じ硬さではありません。床下粘膜の被圧変位量、つまり力がかかったときの沈み込み方には部位差があります。この違いを考慮せず、形だけを合わせても、噛んだときに入れ歯が傾くことがあります。
2.義歯床の大きさや長さが適切でない
義歯床が必要以上に大きい、あるいは縁が長すぎると、頬、舌、口唇などの動きを妨げ、痛みや外れやすさにつながります。
反対に小さすぎる場合は、噛む力を受ける面積が不足し、粘膜の一部に力が集中することがあります。
単純に「大きいほど安定する」「小さいほど楽」というものではなく、粘膜や筋肉の動きに合わせた範囲が必要です。
3.噛み合わせがカタついている
左右どちらかが先に当たる、前歯へ強く力がかかる、顎を動かしたときに入れ歯を押し外す接触があると、入れ歯は噛むたびに傾きます。
この「噛み合わせのカタつき」があると、原因となっている接触部とは別の場所に痛みが出ることがあります。
静かに噛んだ状態では問題がないように見えても、食事中に顎を前後・左右へ動かしたときに不安定になることもあります。そのため、入れ歯の内面だけでなく、実際の顎の動きの中で噛み合わせを確認することが重要です。
4.加圧側と受圧側の条件が合っていない
食べ物を噛む人工歯の位置や角度と、その力を受け止める顎堤・粘膜の位置関係が不適切だと、入れ歯を回転させるような力が加わります。
入れ歯に加わる力だけでなく、その力をどこで、どのように受け止めるかという「加圧・受圧条件」の両方を見る必要があります。
5.入れ歯を支える残存組織に問題がある
入れ歯そのものではなく、入れ歯を支える土台が不安定なために、入れ歯が合わなくなっていることがあります。
難症例には、難症例になる理由があります。たとえば次のような状態です。
- 骨隆起がある
- 歯槽骨の吸収が著しく、顎堤が乏しい
- フラビーガムがある
- 角化粘膜や付着歯肉が乏しい
- 残っている歯に動揺がある
- 残存歯がお団子のように丸い形をしている
- いわゆるバケツ冠になっている
- 歯の咬頭傾斜や展開角が揃っていない
- 辺縁隆線の高さが揃っていない
- 咬合平面が乱れている
入れ歯は、残存歯、顎の骨、粘膜という土台の上で機能します。その土台の状態を確認せずに入れ歯だけを新しくしても、良好な結果を得ることが難しい場合があります。
なぜ痛いところを削るだけでは治らないのか
義歯床の縁が長い場合や、内面の一部が強く当たっている場合は、その部分を適切に調整することで改善が期待できます。
一方、噛み合わせのカタつきや加圧・受圧条件の不調和があると、噛むたびに入れ歯全体が傾きます。その結果、傾きを生じさせている場所とは別の粘膜に痛みが現れることがあります。
この状態で痛いところだけを削ると、一時的に楽になっても、入れ歯を傾ける力は残ったままです。さらに削り続けることで、義歯床と粘膜の隙間が大きくなり、かえって動きやすくなることもあります。
身体の姿勢や緊張状態によって下顎の位置や筋肉の使われ方が変化する場合もあります。当院では、必要に応じてお口の中だけでなく、顎位や神経筋機構、上部頸椎の状態も確認します。
痛む場所を見つけることと、痛みを生じさせている原因を見つけることは、必ずしも同じではありません。
新しい入れ歯より古い入れ歯の方が噛みやすい理由
長期間使用した入れ歯の人工歯には、その方が繰り返し顎を動かすことで「ファセット」と呼ばれる摩耗面が形成されます。
そのファセットは、現在の顎の動きや神経・筋肉の使い方にとって、抵抗の少ない通り道になっています。そのため、必ずしも理想的な噛み合わせではなくても、使い慣れた古い入れ歯の方が噛みやすく感じることがあります。
言い換えれば、古い入れ歯は、その方の現在の身体の状態に神経や筋肉が適応した噛み合わせになっています。
一方、新しい入れ歯では、人工歯の位置や角度、噛み合わせが変わります。形が新しく整っていても、顎の動きや神経筋機構と調和していなければ、異物感や噛みにくさを感じることがあります。
「慣れるまで使ってください」だけで終わらせず、なぜ古い入れ歯では噛めて、新しい入れ歯では噛みにくいのかを、新旧両方の入れ歯から調べることが大切です。
みやの歯科医院が考える、身体と一体になる噛み合わせ
みやの歯科医院では、お口の中だけを見て顎の位置を決めるのではなく、上部頸椎の状態や神経筋機構との関係も確認します。その際に用いている考え方が「CAC Zone(カック・ゾーン)」です。
CAC Zoneの正式名称は、Cervical-Adaptive Centric Zone(頚椎適応型セントリックゾーン)です。
CAC Zoneとは、その方の、その時点における上部頸椎の状態に応じて規定される、上下の顎の3次元的な許容範囲を指します。
この考え方には、次の3つの特徴があります。
- 一人ひとり違う:万人に共通する一つの理想点ではなく、その方の骨格や上部頸椎の適応状態を考慮します。
- その時々で変化する:上部頸椎や神経・筋肉の状態は一定とは限らないため、許容範囲も時間とともに変化する可能性があります。
- 立体的な範囲で考える:前後方向の一点だけでなく、左右・上下を含む3次元的な範囲として顎位を捉えます。
また、みやの歯科医院ではCOF(Center of Force:咬合力中心)も重視しています。COFは、噛んだ力が歯列のどこに集まっているかを示す指標です。COFを必ず正中の一点へ合わせるのではなく、その方のCAC Zoneの中で安定させることを目指します。
入れ歯を単なる歯の代用品として捉えず、噛み合わせ、顎の動き、神経や筋肉、上部頸椎との関係まで考えて製作する。これが、みやの歯科医院の「歯身一体®」という考え方です。
上部頸椎はどのように確認するのか
毎回の診療では、特別な機器を使わずに、次のような項目を確認します。
- 後頭下筋群(頭の後ろにある筋肉)の緊張や左右差を触診する
- 頭が左右どちらかへ傾いたり、回旋したりしていないかを見る
- 首を動かせる範囲を簡易的に確認する
- 左右の噛み合わせのバランスを確認する
必要な節目では、さらに詳しい検査を組み合わせます。
- T-ScanによるCOFと咬合力バランスの数値化
- サーモグラフィーによる身体左右の温度差の確認
- 足底圧重心による姿勢バランスの測定
- 必要に応じたCBCT(歯科用CT)による構造の確認
CAC Zoneは固定された一点ではなく、その時点の状態を反映するという考え方です。そのため当院では、一度測定して終わりにせず、治療の経過に合わせて繰り返し評価します。
新しい入れ歯でも、できるだけ早く自然に噛める状態を目指します。
※顎位、上部頸椎、姿勢の関係には、解剖学的・生理学的に確認されている部分がある一方、「咬合・顎関節・頸椎・姿勢」という連鎖全体は研究途上です。CAC Zoneは当院が臨床で用いている理論であり、入れ歯による全身症状の改善や、すべての方が同じ結果を得られることを保証するものではありません。
作り直す前に、現在の入れ歯から原因を調べます
合わない入れ歯には、これまでどのように噛んできたかという情報が残されています。
- どこが強く当たっているか
- 噛んだときにどちらへ動くか
- どの歯から接触しているか
- 人工歯にどのような摩耗面ができているか
- 顎を動かしたときに抵抗があるか
- 残存歯や粘膜にどのような負担が生じているか
現在の入れ歯を詳しく見ることで、新しい入れ歯をゼロから作るだけでは分からない情報が得られます。
そのため、当院では最初から作り直すことだけを前提にせず、現在お使いの入れ歯を診査します。以前使用していた入れ歯がある場合は、現在の入れ歯と一緒にお持ちください。
今の入れ歯をリノベーションするという選択
入れ歯は、大きく分けると次の3つのパーツで構成されています。
- 人工歯
- 義歯床
- フレーム
問題のある部分だけを見直し、利用できる部分を生かすのが、みやの歯科医院の「入れ歯のリノベーション」です。
人工歯に対する処置
- 咬合調整
- 人工歯の移動
- 人工歯の挙上
- 人工歯の交換
義歯床に対する処置
- リリーフ
- リライン
- リベース
- 義歯床の延長
- 義歯床の短縮
- デンチャースペース(入れ歯を置くための空間)の修正
フレームに対する処置
- フレームの適合調整
- フレーム交換レジン
- フレーム交換メタル
一般的には、人工歯、義歯床、フレームの順に修正しやすくなります。ただし、どの部分を残し、どの部分を交換すべきかは、入れ歯の設計、材料、劣化、残存歯や粘膜の状態によって異なります。
当院では幅広い入れ歯のリノベーションに対応し、利用できる部分と交換が必要な部分をご説明します。
診た本人が、院内で入れ歯を調整・製作します
みやの歯科医院では、歯科医師と歯科技工士、両方の国家資格を持つ院長が、診査から入れ歯の調整・製作まで担当します。
院内に歯科技工所があるため、診察で確認した粘膜の状態、噛み方、顎の動きなどを、入れ歯の調整や製作へ直接反映できます。
完成の一歩手前ではピーナッツチェック、完成時にはスルメチェック®を行い、実際に食べ物を噛める状態かを確認します。噛みにくい場合は、作った本人が原因を確認して調整します。
※感じ方や治療結果には個人差があります。すべての方が同じ食品を噛めることを保証するものではありません。
入れ歯安定剤で様子を見続けてもよい?
入れ歯安定剤によって、一時的に動きや違和感が軽減することはあります。
しかし、使用量が増えてきた場合や、安定剤なしでは食事が難しい場合は、義歯床と粘膜の隙間、噛み合わせ、入れ歯の傾きなどを確認した方がよいでしょう。
安定剤で隙間を埋めても、噛み合わせのカタつきや、残っている歯への負担まで解決できるとは限りません。
強い痛み、治りにくい傷、出血、腫れなどがある場合は、自己判断で使い続けず、歯科医院を受診してください。
入れ歯を作り直す前にご相談ください
入れ歯が合わないからといって、必ずしもすべてを作り直す必要はありません。
まずは、なぜ痛いのか、なぜ外れるのか、なぜ古い入れ歯の方が噛みやすいのかを確認することが大切です。
大阪市平野区のみやの歯科医院では、他院で製作された入れ歯のご相談にも対応しています。修理、調整、リノベーション、新規製作など、現在の状態に応じた選択肢をご説明します。
まずはLINE無料相談で、現在のお悩みをお聞かせください。来院される際は、現在使用している入れ歯だけでなく、以前使用していた入れ歯もお持ちください。
よくある質問
他院で作った入れ歯でも相談できますか?
はい。現在使用している入れ歯だけでなく、以前使用していた入れ歯もお持ちください。新旧の入れ歯を比較することで、噛みやすさや違和感の原因を把握しやすくなる場合があります。
入れ歯は何年で作り直すべきですか?
年数だけでは判断できません。人工歯の摩耗、義歯床やフレームの状態、歯ぐき・顎の骨・残存歯・噛み合わせの変化を確認して判断します。
痛いところを自分で削ってもよいですか?
おすすめできません。必要な接触まで失われたり、義歯床と粘膜の隙間が大きくなったりして、さらに不安定になる可能性があります。
古い入れ歯の方が噛みやすいのは、慣れているだけですか?
慣れだけとは限りません。長く使用した入れ歯には、その方の顎の動きによって形成された摩耗面があります。人工歯の位置、噛み合わせ、神経や筋肉の適応などを、新しい入れ歯と比較して診断することが重要です。
どのような入れ歯でもリノベーションできますか?
幅広い入れ歯に対応できますが、材料の劣化や破損の程度、設計、残存歯や粘膜の状態によっては、一部または全部の作り直しが適する場合もあります。実際の入れ歯を確認して判断します。
- 監修医情報
-
みやの歯科医院 院長
宮野 敬士 歯科医師